子供のころ、こんなことがありました。花が大好きだった祖母。
その祖母について、祖母の家の小さな庭で、私はよく水やりの
手伝いをしていました。
春には沈丁花、初夏にはバラにツツジに紫陽花、
そして秋には金木犀。
花々の色合いや香りとともに、少しずつ移りゆく季節の変化も
思い出します。
祖母に内緒で、庭の花を抜いて、勉強机に飾ったことも、
祖母の面影とともに、ときおり思い出します。
母も、花が大好きでした。母は家の庭から採った花を玄関やトイレに
生けていました。
生けていた、というより、無造作に差し込んでいた感じでしょうか。
でも、その花々は、幼かった私の心にも、
何か温かいものを与えてくれました。見ているだけで、ほっこりと、
温かな心持ちになったのです。
花とは何だろう。そのことを思うとき、原点ともいうべき子供のころの、
この二つの情景を思い出します。
そして、花に敬意を持とう、花を贈る人の気持ちを大事にしようと、
改めて思うのです。
心を込めて花を生けよう、届けよう。そう思うのです。
      (株)PITZ 代表 藤井弘子